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オレンジ宇宙制作室

2008年7月31日

 彼は私の餌としてこの檻にやってきた。彼はそれを知らない。だから、一緒に逃げようと言ってきた。「僕はできそこないだけど鳥だから」 私は何も言わなかった。「大丈夫」 私の無言をどう解釈したのか、彼は笑顔でそう言う。するとま […]

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2008年7月21日

 巨大な青虫がミドリガメを食べている。「それ、カメ」 あたしがそう言うと、青虫はちらりとこちらを見た。「緑だから大丈夫だ」 いいの? とミドリガメを見ると、彼もまだ無事な顔をこちらに向けた。「緑だから仕方ない」 あたしは […]

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2008年7月21日

 久しぶりのデートだけれど、さっきからずっと会話が成立していない。「これから僕んち来ない?」「え? うん、天気いいよね」「今度はいつ会えるの?」「え? さっきの映画? おもしろかったよね」 そういえば、最近新しい耳に変え […]

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2008年1月12日

 雪は冬になれば降る。毎年毎年、嫌ってほど降る。嫌って言っても降る。 だからオレにとって雪なんて、珍しくもうれしくもない。 今年は年末から親戚のハルカがうちに泊まりにきていた。親戚なんだからどこかで血が繋がっているんだろ […]

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2008年1月2日

 雪が降っていた。水気の多い雪である。地面に落ちると自分の重みでぺしゃりとつぶれてしまう雪だった。 一匹の三毛猫が古い民家の軒下にいた。黒の部分が多めのその三毛猫は、寒がる様子もなく雪を見ていた。 民家は半ば朽ち果ててい […]

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2007年10月25日

 深夜に目が覚めて水を飲んでいるとお父さんが起きてきました。「お前に妹を作ってやろう。お前も手伝うんだ」 今までに見たこともない怖い顔でお父さんは台所に入ってきます。びっくりして動けないあたしをお父さんは床に座らせて、そ […]

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2007年6月17日

「今日はいい天気だ」 日差しに温められたコンテナによりかかり、俺はそう言う。背中のコンテナから、ゴンと音がした。「明日には港に着くぞ」 ゴン。「港に着いたらどこに行くか知ってるのか?」 ゴンゴン。「そうか」 魚の群れでも […]

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2007年5月12日

 いつの間にか脱皮してどこかに飛んでいってしまった。私の中身だった彼女は今どこにいるんだろう?

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2007年5月12日

 遅くなったおわびにと、私が小さな包みを差し出すと、妻は顔をしかめて一歩後ずさった。「どうした? ほら土産」「いやっ。そんなのいらないわよ」「いらないって、せっかくお前のために買ってきてやったのに」「やめてよ。気持ち悪い […]

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2007年5月12日

 物語の途中で母親の声が途切れ、少女はベッドから体を起こす。見ると母親は椅子に腰掛けたまま眠ってしまっていた。「お母さん?」 少女は控えめに声をかけたが、母親は起きない。今度は大きめに呼んだ。「お母さん! 続きは?」「続 […]

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