OPEN MENU
CLOSE MENU

HOME > オレンジ宇宙制作室

オレンジ宇宙制作室

2024年10月30日

 今年も十月を踏んづけた。同時に口内炎も踏んづけた。そこから立ち上る小さな炎でマシュマロが焼けたけれど、好きなものしか食べたくない。迷っているうちに、マシュマロも炎も消えてしまった。でも、口内炎はまだ残っている。十月もま […]

More >

2023年11月1日

 今年も十月を踏んづけた。そう思ったのに何も起こらない。首を傾げながら振り返ると十月が点々と落ちている。今年は踏まなかったのか、踏めなかったのか。今さら拾い集めるのもおかしくて、ひとつだけ蹴り飛ばしたら全部消えた。

More >

2022年10月19日

 今年も十月を踏んづけた。周りのものが高速で後ろに流れ始め、景色がどんどん変わっていく。早送りの中で、私だけが動けずに止まっていた。十月はもう見えない。

More >

2021年10月7日

 今年も十月を踏んづけた。すると目の前に扉が現れる。左右にも後ろにも扉。扉に囲まれた私がどれを開くか迷っていると、正面の扉が迫ってきた。このままでは挟まれてしまうと思い、とっさに右の扉を開ける。その先には何もなく、振り返 […]

More >

2020年11月6日

 遠方の恋人からロールケーキが届いた。早速、するすると巻きをほどき、中を読む。真っ白なクリームの上に、小さな文字でびっしりと並ぶのは、異国の変わった記念日の話だった。ところどころに甘い言葉が混ざっているのは、仕方ない。こ […]

More >

2020年10月25日

 今年も十月を踏んづけた。その前に九月も八月も踏んづけた。それらはまだ地面にこびりついていたけれど、十月を踏んづけたら、九月は雨に流れて八月は蒸発して消えた。私の足元には十月だけが残った。そして全く消える気配がない。

More >

2020年10月3日

 浅い水槽にはわたしがたくさん泳いでいる。みんな変な水着だ。 私は、先月買ったばかりのシリコンの穴あきレードルでわたしをすくう。 わたしはレードルには大きくて、ひっかかるのにうまくすくえない。「もうちょっとやせてよ」 私 […]

More >

2020年8月18日

 隣の芝生は青い。夏の空のようで、ときどきのっそりと寝そべっているサモエドは入道雲に見える。 折よく隣家の主人が庭にいるときに顔を合わせたから、何を撒いているのか尋ねてみた。「レモンスカッシュですよ」「なるほどなるほど」 […]

More >

2020年8月15日

 手を繋ぐ。その先はだんだん重くなる。夕方が焦げ付いた鍋に牛乳を注いで煮溶かす。昨日の月も今日の月も知らないまま、手を離す。

More >

2020年8月1日

 天井を鳥の影が横切る。部屋の中に鳥はいない。屋根の上にはいるだろうか。鳥の影は何度も通って行った。空は見えないのに。

More >

1 2 3 42
豆本掲載作
その他の印刷物・雑貨掲載作

長編・連載モノなどは「カクヨム」に掲載しています。

ページの先頭へ戻る