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十月病シリーズ一覧

2023年11月1日

 今年も十月を踏んづけた。そう思ったのに何も起こらない。首を傾げながら振り返ると十月が点々と落ちている。今年は踏まなかったのか、踏めなかったのか。今さら拾い集めるのもおかしくて、ひとつだけ蹴り飛ばしたら全部消えた。

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2022年10月19日

 今年も十月を踏んづけた。周りのものが高速で後ろに流れ始め、景色がどんどん変わっていく。早送りの中で、私だけが動けずに止まっていた。十月はもう見えない。

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2021年10月7日

 今年も十月を踏んづけた。すると目の前に扉が現れる。左右にも後ろにも扉。扉に囲まれた私がどれを開くか迷っていると、正面の扉が迫ってきた。このままでは挟まれてしまうと思い、とっさに右の扉を開ける。その先には何もなく、振り返 […]

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2020年10月25日

 今年も十月を踏んづけた。その前に九月も八月も踏んづけた。それらはまだ地面にこびりついていたけれど、十月を踏んづけたら、九月は雨に流れて八月は蒸発して消えた。私の足元には十月だけが残った。そして全く消える気配がない。

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2019年10月12日

 今年も十月を踏んづけた。その足元からぶわりと湧き起こった雲は、ぐるぐると渦を巻いて空に上がった。見上げる間もなく、雲は私の左手の甲に吸い込まれ、目になる。ラメ入りのアイシャドー、紺色のアイライン、これでもかとマスカラを […]

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2018年10月23日

 今年も十月を踏んづけた。辺りに霧が立ち込める。恐る恐る一歩踏み出すと、また十月を踏んづけた。霧がさらに濃くなる。進むたびに十月を踏んでしまい、霧は一向に晴れない。私は仕方なく真っ白な中を歩いている。

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2017年10月6日

 今年も十月を踏んづけた。溶けたチョコレートが流れてくる。その上を電車がやってきて、私の目の前で止まった。一車両だけの電車には誰も乗っていない。止まったけれど、ドアは開かない。開けるためのボタンもない。戸惑う私を置き去り […]

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2016年10月7日

 今年も十月を踏んづけた。地面が波打つ。その波を越えるとき、天井から吊り下げられた封筒に手が届きそうになる。しかし、わずかの差で届かない。電子音が「確認してください」と繰り返すけれど、届かない。ジャンプするタイミングをは […]

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2015年10月17日

 今年も十月を踏んづけた。ついでに、長いドレスの裾も踏んづけた。その拍子に脱げたスニーカーは、どんどん小さくなる。慌ててフリーザーバッグにしまったけれど、間に合わない。水玉模様が一個残っただけだった。

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2014年10月17日

 今年も十月を踏んづけた。そこかしこに穴が開き、一歩も動けなくなる。穴の一つから手が出てきて、おいでおいでと呼んでいるけれど、その穴まで辿り着けない。あたふたしているうちに、穴は全部塞がってしまった。

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