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オレンジ宇宙制作室

2009年2月20日

 朝見つけたかわいい雲に栗原さんと名前をつけた。二度と会うことはないと思ったのに、翌朝も栗原さんは空にいた。次の朝もその次の朝も。栗原さんの形はずっと変わらなかった。浮かんでいる場所も同じだ。僕は携帯のカメラで彼女とツー […]

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2009年2月20日

 マヨネーズの空容器に吸い込まれた彼は★型のままあたしの部屋の冷蔵庫にいる。 ときどき牛乳をいれてあげると喜んでからからと容器の底を転がる。

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2008年12月22日

 よくある話なんですが、夜、真っ暗な道を歩いていましたら、後ろから足音が聞こえたんです。私の足音にぴったりと付いてくるような感じといいますか、私が止まると足音も止まり、私が進むと足音も進みます。思い切って振り返ってみまし […]

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2008年12月22日

 歯を磨いていたら歯が抜けた。 爪を切っていたら爪がはがれた。「お母さーん!」 大声で呼んだら舌がぼとっと抜け落ちた。首がごろんと転がった。肩から両腕がもげた。バランスを崩して体が床に倒れた。「あらあらあら」 台所から覗 […]

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2008年12月17日

 その星では、かつて世界は大きなカメの甲羅の上に広がっていると信じられていた。 今では世界は丸い惑星だということが分かっている。 その惑星を、大きなオットセイが鼻先で器用にくるくる回しているのだ。 そうやって昼と夜ができ […]

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2008年12月15日

 不幸な事故が重なってゆでたまごとして食卓に並ぶことになった彼は、前世ではあたしの恋人だった。 あたしはそっと彼に口づけをする。「来世ではあたしが食べられてあげるね」

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2008年12月8日

 夕暮れが見つからないからいつまでも昼だ。「ねぇまだ見つからないの?」 彼女は不機嫌な声で言った。僕の隣りを黙って歩いていたから、もちろん彼女も夕暮れを探してくれているのだと思っていた。「疲れた?」「疲れないと思う? で […]

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2008年9月20日

 あたしの言葉が誰にも届かないまま落ちて消える。それをあたしは見たくない。 一人の部屋で紙飛行機を飛ばしたら壁にぶつかった。

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2008年9月20日

 視界の隅で黒いコードが動いた。 あれはたしか炊飯器の電源だ。黒いコードはするすると動いて私の足元まできて鎌首をもたげる。「もうそんな時間か」 口に出して立ち上がり、米を研ぐため台所に向かう。

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2008年9月12日

 口紅を中指ですくって下唇にのせる。その柔らかさを確かめるようにそっと指を滑らす。私が指を離すと、彼女は一度きゅっと口を閉じ、色をなじませた。「今夜もずっと起きているのですか?」 私が聞くと、彼女は笑った。紅玉で彩られた […]

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