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製品カタログ19「パンドラ」収録作一覧

2016年2月26日

 エスカレーターを降りて、かかとを地面につけると充電が始まる。 森の中の高い本棚は、三段上の書名も読めない。古いポスターは、赤い線だけが鮮やかに残る。苔の生えたベンチ。湿った匂い。私は木の間を巡って、あちこち見て回った。 […]

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2016年1月30日

 サラダボウルを投げました。割れました。 ミニトマトを踏みました。潰れました。 この赤い汁は、トマトでしょうか、私の血でしょうか。 この白いかけらは、ボウルでしょうか、私の骨でしょうか。 まとめて新聞紙に包んで捨てました […]

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2016年1月24日

 色の薄い部屋は空気も薄い。めまいをこらえて扉を押したけれど、びくともしない。 床のタイルはグラデーションで、奥に向かって小さくなる。藍色のタイルを踏んだら、電車の鳴き声がした。「閉じこめられてるんじゃない。閉じこもって […]

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2015年11月18日

 干潮になる深夜、海を歩いて探検に行く。洞窟の奥の蛇の目はオパールで、角度によって色を変える。地底湖にカリフラワーを投げると、しゅわしゅわと溶けて消えた。バニラ味。

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2015年9月19日

 フライパンの蓋を開けると、金のカラーコンタクトの大きな瞳。長いつけまつげを羽ばたかせ、器用にウィンクする。

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2015年9月19日

 眩しい。視界一面の白。左右の壁と天井は緩やかに波打ち、光を放つ。前後は白い闇。トンネルのようだった。 足元には百合が敷き詰められている。薄い磁器の白い花。それを裸足で踏みながら、私は歩いている。 細く高い音を立てながら […]

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2015年7月18日

 小五のときにビーカーの中で難破した船が、二十五年経ち、ティーポットから出てきた。帆を張ってスプーンを構える。風はベルガモットの香り。暑そうに空を仰ぐ船員たちを見て、アイスティーにしてあげれば良かったなと反省する。

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2015年4月25日

 彼の肩に凭れかかる。まだ真っ白な彼は、何も言わないし、何もしない。カンヴァスの布目がざらりと頬を擦る。涙が出るけれど痛くはない。

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2014年12月19日

 通りすがりの家の塀からはみ出す夏みかんの木を見て、彼女は囁く。「クリスマスツリー、見つけた」 確かに、色付き始めた果実がオーナメントのようだ。茂った葉っぱが濃い陰になる中、ぼんやりと浮かんで見える。 急に彼女はジャンプ […]

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2012年4月8日

 あの日、両親は親戚の法事に出かけ、私は一人で留守番していました。よく晴れていて、外に遊びに行けないのが残念でした。 自分の部屋にいると台所の方から音が聞こえてきました。両親が帰ってきたのだと思って見に行くと、知らない女 […]

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