「今日はいい天気だ」
日差しに温められたコンテナによりかかり、俺はそう言う。背中のコンテナから、ゴンと音がした。
「明日には港に着くぞ」
ゴン。
「港に着いたらどこに行くか知ってるのか?」
ゴンゴン。
「そうか」
魚の群れでもいるのか、遠くに海鳥が集まっているのが見える。
空も海も同じに深い青。
甲板にはくすんだ赤いコンテナがいくつも並ぶ。
「おまえ、そこから出たいか?」
もう何度も聞いた問いだ。
しばらく経った後、ゴンゴンと音がした。
豆本「超短編豆本 菖蒲ノ巻」に、「コンテナ」に改題して加筆して収録。