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企画イベントなど投稿作一覧

2018年1月31日

 最中の中身は空だった。「粒あん! 粒あんはどこだ!?」 大声で呼ぶが返答はなかった。代わりに女中が戸口に現れる。「旦那様。奥様はお出かけになりました。お戻りは年明けになるそうです」「どういうことだ! 粒あんはどこにいっ […]

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2017年12月5日

 とても綺麗な芋虫だった。小指ほどの大きさの白い芋虫。薄い皮から透けた桃色が、歩く動きに合わせて揺らめき、オーロラのようだった。頭の先を指でつつくと、ひゅっと縮むのもかわいらしい。 きっと綺麗な蝶々になるのだと思う。そう […]

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2017年11月7日

「あ、ライン来たよ」 ユリが天を指す。「縄じゃん」「マジ太すぎ。どんだけ目立たせたいんだって」 私の前に垂れ下がっているのは注連縄みたいなラインだった。先端にカナのアイコンが付いている。それを引いてメッセージを受け取ると […]

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2017年7月31日

 手も触れていないのに勝手に開く扉を入ると、首がない人形の列に出迎えられた。不自然な姿勢で固まる彼女たちの間を、私はこわごわ進む。そんな私に構わず、彼はどんどん先に行ってしまう。「いらっしゃいませー」 突然声をかけられて […]

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2017年5月23日

 おじいさんの尾とおじさんの尾は違う。おじいさんの尾とおとうさんの尾は同じだから、おとうさんの尾とおじさんの尾も違う。「兄弟なのに、なんで違うの?」 そう聞くと、おじさんは「秘密だぞ」と耳打ちしてくれた。「おじさんはおと […]

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2017年4月16日

 気がつくと足元にたくさんの遺体があった。全員が私だ。刀か鉈か、わからないけれど、背中がぱっくりと割れている。「だいじょうぶ?」 どう見ても死んでいるのに、呆然としたまま尋ねると、遺体が痛いと答えた。「痛いよ、痛い」「だ […]

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2017年4月15日

 帰り道、風に舞う花びらを目で追うと、夜空には大きな文字が浮かんでいた。「読める?」 手を引いて彼の耳元で聞く。「あれ文字なの?」「たぶんね」「なんだ、君だって読めないんじゃないか」 彼はそう言って、私のお気に入りの角度 […]

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2016年12月23日

 顔を洗って鏡を見ると母がいた。私じゃない。母に見える。 そういえば昨日髪を切ったんだった。 ドライヤーでセットすると妹がいた。私でも母でもない。妹に見える。 そういえば前髪を揃えたんだった。 母になった私は産んでもいな […]

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2016年11月13日

「みきのことは好きだと思ってるよ。でも、まきのことも好きなんだよ。ほら、楽器に例えるとベースとギターみたいな、さ。俺バンドやってるから」「意味わかんないんだけど」 私はそう切り捨ててから、彼に聞く。「さきのことは?」「え […]

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2016年4月16日

 ついでに散歩するから、と彼は茶色くてしっぽが長い犬を連れてきた。駅までの道を並んで歩きながら、彼に聞く。「何犬?」「オオカミ」「へー、これが?」 私は、彼が抱えている風呂敷包みを指差す。「それ、何?」「オオカミ」「それ […]

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