とても綺麗な芋虫だった。小指ほどの大きさの白い芋虫。薄い皮から透けた桃色が、歩く動きに合わせて揺らめき、オーロラのようだった。頭の先を指でつつくと、ひゅっと縮むのもかわいらしい。
きっと綺麗な蝶々になるのだと思う。そうしたら、もう手のひらに乗せたりはできないだろう。きっと飛んで行ってしまう。
どこにも行かないで。
やわらかな背中を撫でる。ほんの少し力を込めると、オーロラが滲んだ。
「20周年!もうすぐオトナの超短編」
たなかなつみ選 兼題部門(兼題:期間限定) 投稿作
http://inkfish.txt-nifty.com/diary/2017/02/20-acd9.html
結果
http://inkfish.txt-nifty.com/diary/2017/12/post-36a6.html
兼題部門(兼題:期間限定)佳作