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オレンジ宇宙制作室

2017年7月16日

 数日顔を見ていない幼馴染の仏師を心配して差し入れを持って家に行く。母に頼まれたからだ。明日の朝じゃだめなのかと渋ると、また食べずに制作し続けて倒れてたら困るからと押し切られた。 仕方なく隣家の門をくぐる。灯りが漏れてい […]

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2017年6月23日

 右に五回。左に千回。 冷蔵庫から流れてきた水が作った小さな海を、ぐるぐるとかき混ぜて波を起こす。発生した雲を割り箸で絡め取り、幅木に貼り付けて入道雲にした。 翌朝フローリングの浜には小さな巻貝が打ち上げられていた。そっ […]

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2017年6月17日

 天窓の薄い光が布団の上に格子模様を作る。繰り返し指でなぞると、だんだんと線が濃くなっていく。影が夏の色になるまで、私は起き上がれない。ため息はそっと前髪を揺らし、雲にもなれずに消えていった。

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2017年6月3日

 魔女は目が悪いふりをしていました。ヘンゼルが指の代わりに骨を差し出すのも、グレーテルがお菓子をつまみ食いしているのも、知っていました。子どもたちは自分を狩るために村から送り込まれてきたのではないか、と疑っていたのです。 […]

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2017年5月23日

 おじいさんの尾とおじさんの尾は違う。おじいさんの尾とおとうさんの尾は同じだから、おとうさんの尾とおじさんの尾も違う。「兄弟なのに、なんで違うの?」 そう聞くと、おじさんは「秘密だぞ」と耳打ちしてくれた。「おじさんはおと […]

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2017年5月20日

お客様各位  平素は弊社サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。 暦の進行に伴いまして、今年も夏をはじめることとなりました。今週末を目処に順次夏に切り替えていく予定です。地域ごとの具体的な日時は改めて個別にご […]

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2017年4月16日

 気がつくと足元にたくさんの遺体があった。全員が私だ。刀か鉈か、わからないけれど、背中がぱっくりと割れている。「だいじょうぶ?」 どう見ても死んでいるのに、呆然としたまま尋ねると、遺体が痛いと答えた。「痛いよ、痛い」「だ […]

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2017年4月15日

 帰り道、風に舞う花びらを目で追うと、夜空には大きな文字が浮かんでいた。「読める?」 手を引いて彼の耳元で聞く。「あれ文字なの?」「たぶんね」「なんだ、君だって読めないんじゃないか」 彼はそう言って、私のお気に入りの角度 […]

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2017年4月10日

 人差し指と親指を立てて銃を作る。そして、銃口を空に向けた。 私の頭上には大きな水風船がある。「バンッ」 声に出さずに、引き金を引く。 はらはらと桜が舞い散って、雨が降る。水風船はさらに膨らんだ。

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2017年2月18日

 キウイフルーツの種と黒胡麻を差し替えるような仕事。

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