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おかしのいえ

 魔女は目が悪いふりをしていました。ヘンゼルが指の代わりに骨を差し出すのも、グレーテルがお菓子をつまみ食いしているのも、知っていました。子どもたちは自分を狩るために村から送り込まれてきたのではないか、と疑っていたのです。だから、食べてやるなどと脅しました。しかし、しばらく過ごすうちに、子どもたちが本当にただの迷子だと魔女にもわかってきました。
 痩せ細っていたヘンゼルが健康的になったころ、魔女はグレーテルにいつもより豪華なごちそうを作る用意をさせます。ヘンゼルを檻から出し、本当のことを話し、二人を村まで送り届けるつもりでした。二人が希望するならここで一緒に暮らして構わないとさえ思っていたのです。
 グレーテルは魔女の本心を知りません。ヘンゼルを食べるための準備をさせられていると思い、なんとかしなくてはと必死に考えます。
 後は皆さんがご存知の通りです。

2017年6月3日
豆本掲載作
その他の印刷物・雑貨掲載作

長編・連載モノなどは「カクヨム」に掲載しています。

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