OPEN MENU
CLOSE MENU

HOME > オレンジ宇宙制作室 > 隣の芝生は青い

隣の芝生は青い

 隣の芝生は青い。夏の空のようで、ときどきのっそりと寝そべっているサモエドは入道雲に見える。
 折よく隣家の主人が庭にいるときに顔を合わせたから、何を撒いているのか尋ねてみた。
「レモンスカッシュですよ」
「なるほどなるほど」
 青春の色というわけだ。
 お宅は何を、と聞き返される。
「珈琲なんです。豆から挽いてまして」
「ほう、確かに渋い良い色合いですな」
「それが、最近娘が泡立てた牛乳ですかね、フォームミルク? そんなものを撒きだしまして」
 困ったものです、と私は庭の一角を指さす。
「ラテアートというらしいんですが」
 芝生に何やら絵が浮き出てきているのだ。

「珈琲の超短編」投稿作
選外

http://inkfish.txt-nifty.com/diary/2020/02/post-888e6c.html
http://inkfish.txt-nifty.com/diary/2020/08/post-ac5f49.html

豆本掲載作
その他の印刷物・雑貨掲載作

長編・連載モノなどは「カクヨム」に掲載しています。

ページの先頭へ戻る