OPEN MENU
CLOSE MENU

HOME > オレンジ宇宙制作室 > 「お題」系作品一覧

「お題」系作品一覧

2010年2月25日

 自由登校になってから初めて学校に行った。ちょうど五時間目だ。廊下の窓から、中庭を挟んだ新棟で二年生が授業を受けているのが見える。ドアを開けると教室には先客がいた。「あ、びっくりした」 窓際の机に座って外を見ていた根岸さ […]

More >

2010年2月25日

 歩道の方を見ていた彼女が何か呟いた。「何?」「え?」「何か言ったでしょ?」「あーうん。あかるいねって」 信号が青に変わって、僕は車を発進させる。 彼女が呟いたのが本当は別の言葉だってことに、僕は気付いていた。でもそのま […]

More >

2010年2月13日

 居間のテーブルの上に読みこぼした文字がたくさん落ちているのを見て、母親は息子を叱る。 瓢箪堂のお題倉庫http://maruta.be/keren/3164

More >

2010年2月13日

 交差点で彼が隣に立ったとき、オレンジ色の人だとなぜだか感じた。 シトラスの匂いがしたというのとは違う。オレンジ色だ。 服がオレンジ色だったというわけでもない。そのときはまだ彼の着ている服の色は見えていなかったし、見えた […]

More >

2010年2月13日

 防波堤の上を歩いていた。夜。波の音に慣れてしまえば、冬の海はとても静かだ。中途半端な形の月が後ろから僕らを照らす。車道に落ちる影。僕のコートと彼女の髪が、風を受けて膨らんでは萎む。潮の匂いも冷たい。 腕に硬いものが当た […]

More >

2010年1月22日

 左手にマニキュアを塗ったら、サーモンピンクだった。 同じものを左足に塗ったら、今度はターコイズブルーだった。 昼と夜の境界が私のおなかのあたりにある。 創作家さんに10個のお題http://note25page.see […]

More >

2010年1月22日

 角を曲がると知らない景色だった。見たことのない店が道の両側に並んでいる。 間違えたな、と思った。 いつ間違えたのかがわからない。角を曲がるまでは合っていたのか、それより前から間違えていたのか。そもそも最初は合っていたの […]

More >

2010年1月22日

 目に見えないもやもやしたものが地面の上に溜まって歩きにくくなったのは、今から三十年ほど前のこと。 車も電車もゆっくりにしか走れなくなって、道路や線路は高架化した。建物の中や地下など空が見えない場所にもやもやが溜まること […]

More >

2010年1月16日

 バスを待っていると、肩を叩かれる。振り返ると、うさぎ。白の。二本足で立つ背丈は私と同じくらい。いつものうさぎだと思ったら、その口が突然大きく開き、私は一瞬で飲み込まれてしまった。傘は何の役にも立たなかった。「嘘? ちょ […]

More >

2010年1月16日

 彼女の髪に綿毛がついていた。「綿毛」 取って見せてあげる。大きな綿毛だった。「何かしら?」「アザミ?」 ピンクの花が咲いている隣りに、白っぽい塊があるのを見た気がする。「雪みたい」 彼女は笑う。「冬、来ないね」「そうだ […]

More >

豆本掲載作
その他の印刷物・雑貨掲載作

長編・連載モノなどは「カクヨム」に掲載しています。

ページの先頭へ戻る