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十月病

 今年も十月を踏んづけた。溶けたチョコレートが流れてくる。その上を電車がやってきて、私の目の前で止まった。一車両だけの電車には誰も乗っていない。止まったけれど、ドアは開かない。開けるためのボタンもない。戸惑う私を置き去りにしてベルが鳴る。電車は発車する。引きずられるように、チョコレートも流れていく。ただ甘い香りだけが残された。

2017年10月6日
豆本掲載作
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長編・連載モノなどは「カクヨム」に掲載しています。

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