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日付日記シリーズ一覧

2018年4月6日

 オープンテラスの席で、カフェオレを飲む。大きな塊になった埃が、足元でくるくると回っている。引きずられた髪の毛は尻尾。小さな落ち葉は耳だ。チィチィと鳴きながら、席を立った私の後をついてきたから、名前を考えなくてはならない […]

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2018年4月5日

 オオイヌノフグリの花を、ひとつひとつ摘み取って、方眼紙に並べる。微妙な色の違いで、離れて見ると霞がかった空のようだ。紙全体が小さな花で覆われたところで、丸めて捨てる。

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2018年4月1日

 切り損ねて一本だけ長い左足の親指の爪が春に触れると、そこから私が解けていく。糸になった私は桜の花びらを巻き込みながら、風でくしゃくしゃに丸まって転がっている。

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2018年3月19日

 扉の上の路線図を辿って想像の海へ行く。ひたすら斜め上ばかり見ていると瀕死の魚みたい。そう思ったらおもしろくなる。少し生き返った。

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2017年12月9日

 電極を刺して、骨を温める。熱が伝わり、凍っていた筋肉が溶け始める。皮膚が流れるより前に止めなくてはならないのが難しいところだ。

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2017年11月7日

 シリアルを盛ったお皿に豆乳を注ごうとしたら、白い塊が出てきた。うねうねととぐろを巻くようにシリアルの山を飾ったのは、どう見てもソフトクリームだった。仕方がないから、桃缶を切って載せてあげた。

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2017年11月6日

 電子レンジの上に置き忘れていた豆苗は、袋を突き破って成長し、天井も突き破って雲まで伸びた。 のこぎりで切っておひたしにしたけれどおいしくなかったから、やっぱり豆は小さいほうがいいと思う。

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2017年11月3日

 雪の結晶を、三度。回しながら刻みつけると、私の中心は繊維状になった。そっと取り出す。少し黄ばんだそれは、ヘチマのスポンジのようだった。片手で握り、ぎゅっと絞る。溢れ出たものは、かつて球体だった何か。今はもうぐずぐずに崩 […]

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2017年2月18日

 キウイフルーツの種と黒胡麻を差し替えるような仕事。

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2017年2月9日

 傘についていたおばけが、帰宅したときにはいなくなっていた。どこかで凍っているんじゃないだろうか。以前に撮った写真をSNSに投稿して探そうとスマホのアルバムを開くけれど、写っていたはずのおばけはどこにもいない。ただの風景 […]

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