右足が重い。見ると、薄灰色のねっとりしたものが絡み付いていた。何だろう。見たことがない。生物なのかどうかもわからない。危険なものではないといいのだが、と考えながらトングで取ろうとした。
「ひどい!」
通りかかった女性が僕を見て叫んだ。
「ひどいわ!」
「な、何が?」
「それ」
彼女は僕の右足に絡んだ何かを指差して、
「あなたの運命の相手よ」
「運命の相手?」
「そうよ。ここはそういう場所なの、知らない?」
「は?」
そんな話は聞いたことがない。ここは単なる駅のホームだ。
「皆ここで出会うのよ」
彼女は真剣な顔で、大事にしてあげてね、と言って歩き出す。呆然と見送ると、彼女は少し先で立ち止まった。彼女の右足にも僕のと同じ何かが絡み付いているのだ。どうするのかと見ていたら、彼女は思い切り右足を蹴り上げ、あっさりとその何かを吹っ飛ばした。そして颯爽と歩いていく。
僕も思い切り右足を蹴り上げた。運命の相手は吹っ飛んで宇宙の彼方に消えていった。
そのとき蹴り飛ばした薄灰色の物体が何なのか解明するために研究所を移った僕は、そこで同じように転職してきた彼女と再会するのだけど、それはまた別の話。
500文字の心臓タイトル案より「銀河ステーション」改め