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五月

 彼は左足を枠に入れた。
「これが五月」
 私は右手を枠に入れた。
「これは八月」
「そう。じゃこれは?」
 彼は頭を枠に入れる。
「二月?」
「違う」
「十二月?」
「違う。林檎の」
 鍵のかかる音がして、彼の声は途中でとぎれた。

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長編・連載モノなどは「カクヨム」に掲載しています。

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