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製品カタログ12「冬の手ざわり」収録作一覧

2010年5月13日

 二度と目覚めることはないと思うととても心地よかった。 まさか叩き起こされるとは思いもしなかった。「起きなさい」 目を開けると、足のない女が目の前に立っていた。足の代わりに魚のひれがあるというわけではなかった。ハイビスカ […]

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2010年3月13日

 未舗装の狭い道の突き当たり、盛り土の向こうは草原だった。さらにその向こうに崖。そして海。空。雲。鳥。鳥。鳥。 岬は海鳥だらけだった。 手紙を飛行機にして力いっぱい飛ばすと、その中の一羽がくわえていった。後は任せた。 創 […]

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2010年3月13日

 フラミンゴが溶けた。 足だけ残った。 二十三羽分の足を集めて、丁寧に埋葬した。「昨日は暑かったから」 そう言って園長は天を仰いだ。 創作家さんに10個のお題http://note25page.seesaa.net/ar […]

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2010年3月13日

 始めに色が消えた。 次に光が、そして闇も消えた。 しかし音だけはずっと鳴り続けていた。 だから、指揮者が消えたことには誰も気付かなかった。 瓢箪堂のお題倉庫http://maruta.be/keren/3164

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2010年1月22日

 左手にマニキュアを塗ったら、サーモンピンクだった。 同じものを左足に塗ったら、今度はターコイズブルーだった。 昼と夜の境界が私のおなかのあたりにある。 創作家さんに10個のお題http://note25page.see […]

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2010年1月22日

 目に見えないもやもやしたものが地面の上に溜まって歩きにくくなったのは、今から三十年ほど前のこと。 車も電車もゆっくりにしか走れなくなって、道路や線路は高架化した。建物の中や地下など空が見えない場所にもやもやが溜まること […]

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2010年1月17日

 死んでしまった小鳥のために、僕はロボットを作った。 アルミのフレームの間にコードを巡らす。シリコンのパーツとそれらのパーツを動かすための機構を取り付ける。小さなスピーカーで鳴き声が再生されるようにした。くちばしと羽を埋 […]

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2010年1月16日

 彼女の髪に綿毛がついていた。「綿毛」 取って見せてあげる。大きな綿毛だった。「何かしら?」「アザミ?」 ピンクの花が咲いている隣りに、白っぽい塊があるのを見た気がする。「雪みたい」 彼女は笑う。「冬、来ないね」「そうだ […]

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2010年1月15日

 輪っかが空を飛んでいる。黄色の大きい輪っかだ。太陽にきらりと光っているからもしかしたら金属製かもしれない。「ねぇ、あれ」 隣りを歩くお母さんの袖を引いて、私は空を指差した。輪っかは三つに増えていた。「あれ、何?」「ああ […]

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2010年1月15日

 駅のトイレの鏡だった。そこに映った自分が突然、私とは違う動きをし始めたのだ。鏡の中の私は、ハサミを取り出して前髪を短く切りそろえた。「あ!」 思わず鏡に触れるが、特に変わったところはない。ただの鏡だった。隣りにいたおば […]

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