「もう終わりにしよう」
そう言って彼女は、僕に手のひらを差し出す。
僕はうなずいて、彼女の手のひらに「さよなら」を乗せた。
それは彼女の手のひらから滑り落ち、アスファルトの上で形を変える。
往生際悪く「いやだよ」に変わった僕の「さよなら」を見て、彼女は僕に「ごめんね」を差し出した。
僕はそれを受け取って、しっかりとポケットにしまう。
ふと見上げた茜空には、ナイフで切り裂いたような三日月が出ていた。
2004年12月作 発掘品
「もう終わりにしよう」
そう言って彼女は、僕に手のひらを差し出す。
僕はうなずいて、彼女の手のひらに「さよなら」を乗せた。
それは彼女の手のひらから滑り落ち、アスファルトの上で形を変える。
往生際悪く「いやだよ」に変わった僕の「さよなら」を見て、彼女は僕に「ごめんね」を差し出した。
僕はそれを受け取って、しっかりとポケットにしまう。
ふと見上げた茜空には、ナイフで切り裂いたような三日月が出ていた。
2004年12月作 発掘品
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