星間連絡船の中ではぐれてしまったぺぺが見つかったのは三年後だった。港からの通信でハコダテ星かアオモリ星かと飛び出そうとしたら、コウチ星だという。なぜそんなところに。驚くやら呆れるやら。一番はもちろん安心で、家族みんなで笑い合った。
コウチ星の港まで迎えに行き、三年ぶりに会ったぺぺはずいぶん大きくなっていた。頭が二つに増えている。尻尾は五本もあった。
「行方不明登録の写真とはかなり違うんですがねぇ」
どうですか、と首を傾げる職員に、私は何度もうなずいた。
「ぺぺです! ぺぺ!」
呼びかけると片方の頭が振り向いた。
「ぺぺぺ!」
もう片方も呼ぶ。どちらもうれしそうだ。五本の尻尾をくるくると旋回させて飛んでくる。
「もうどこかに行ったりしちゃだめよ」
私は二つの頭をぎゅっと抱きしめた。
500文字の心臓 第163回タイトル競作『ぺぺぺぺぺ』投稿作
【選評】○
修正の上、豆本「超短編豆本 2019年青ノ巻」収録。