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ファブリカ・ビアンカ

 白の魔法のジェラートは、少しもあやまたず、私の心に届く。自ら作っては、全て一人で食べきる。ときどき皿に盛って窓の外に出すけれど、小鳥が来るより前に溶けてしまう。それでもいいと思っていた。
 白の魔法のジェラートを食べさせたい人が現れた。ついに、やっと、まさか、本当に、と小鳥は私をからかって歌う。私は彼の家にジェラートを持って行った。有無を言わせず、スプーンで口に押し込んだ。
 白の魔法のジェラートは、少しもあやまたず、彼の心に届いた。それから毎日、一緒に作り、一緒に食べ、私たちは魔法をかけあっている。皿が置かれなくなってからも変わらず、小鳥は気まぐれに訪れる。それで、いいさ、それが、一番、と楽しそうに歌った。

豆本掲載作
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長編・連載モノなどは「カクヨム」に掲載しています。

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