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HOME > オレンジ宇宙制作室 > ドードーと私

ドードーと私

 放課後、指定された場所に行くとドードーがいた。彼は私の顔を見るなり、ばっと頭を下げる。
「好きです! 僕と付き合ってください!」
「ごめんなさい、絶滅動物はちょっと……」
 間髪入れずに断った私に、ドードーは嘴をぱくぱくさせた。
「り、理由は?」
「将来性なさそうなんだもん」
「でも、夢はあります!」
「夢だけじゃ生きていけないのはあなたがよく知ってるでしょ?」
「はい……」
 がっくりとうなだれるドードーは、そうしていても愛嬌があった。私は少しかわいそうになって、
「私が絶滅したら付き合ってあげてもいいけど?」
「絶滅しますか、人類が」
「いつかはするんじゃないかしら」
 私が首を傾げると、ドードーは硬い笑い声を立てた。全然信じていない顔だ。
「ははは。ありがとうございます。そのときはまた申し込みに来ます」
「そんなに先のことじゃないって私は思ってるのに」
 自分でふっておきながら不機嫌になった私は、そう言ってくるりとその場を後にした。
「そ、そそ、それはどういう意味ですかぁ?」
 背後でドードーの焦った声とバタバタする音が聞こえ、私は満足して一人笑った。

超短編「絶滅動物」投稿作
http://inkfish.txt-nifty.com/diary/2016/03/post-1b0d.html
http://inkfish.txt-nifty.com/diary/2016/04/post-8701.html

豆本掲載作
その他の印刷物・雑貨掲載作

長編・連載モノなどは「カクヨム」に掲載しています。

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