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ひなまつりには遅すぎる

 真っ白い鳥になって飛ぶ私の足元から、飛行機雲が一筋。
 下方に目を向けると桃の咲く丘で、黄緑をアクセントにした鮮やかなピンクの絨毯が広がっていた。
 パステルカラーの小さいあられが、ぱらぱらと顔に当たる。口を開けて一つ食べると、さくさくと甘かった。
 何もかも遅いのに。
 そう言って苦笑したつもりだけど、舌打ちのような軽い鳴き声にしかならなかった。それがまたおかしくて、私は重ねて鳴く。やっぱりもう手遅れだ。

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