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女王蟻

 戸口で振り返る。私がいない私の部屋には、誰もいない。微かな音を立てる蛍光灯を、祈るようにして仰ぐ。真実だけは決して語らないあの唇は、何のために存在していたのだろうか。扉を閉めて、温かく柔らかな記憶を置き去りにする。もうここは私の部屋ではないのだ。

2015年10月1日
豆本掲載作
その他の印刷物・雑貨掲載作

長編・連載モノなどは「カクヨム」に掲載しています。

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