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ガレット・ブルトンヌ

 私ばかりしゃべっていることに気付く。彼女は的確な相槌を打ちながら、にこにこと楽しそうに私の話を聞いている。二人で会うといつもそうだ。
 厚焼きのクッキーに手を伸ばす。サクサクとバターの香りが広がる。
「最近何かいいことあった?」
 そう聞くと、彼女はあたりさわりのない日常を話し始めた。けれども、そのうち共通の知人の話題にすり替わってしまうだろう。
 清潔に整えられた彼女の爪を見ながら、私は大好きなクッキーを頬張る。

2014年9月27日
豆本掲載作
その他の印刷物・雑貨掲載作

長編・連載モノなどは「カクヨム」に掲載しています。

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