目が覚めたら、まだ朝ではなかった。夜というほど真っ暗でもなかった。濁った窓ガラスの向こうがうっすらと青い。狭い部屋の中には静寂が満ちていた。それを壊さないように、そっと起き上がる。父も母も姉も弟たちもまだ寝ている。私だけ。
ゆっくりふすまを開け、一人分の隙間を作って台所に出る。床が冷たい。流しに出しっぱなしになっていたコップに水を注いで、飲み干した。外で知らない鳥の鳴き声がする。物音がして振り返るとふすまが閉まっていた。私だけ。
瓢箪堂のお題倉庫
http://maruta.be/keren/3164