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微量の銀

 彼女の足跡は月夜にほんのりと輝く。
 決してついて行ってはならないと幼い頃から教えられていたのに、さらさらと音をたてる髪に、白く浮く腕に、ひらめく裾に、時折振り返る頬の丸みに、立ち止まることができない。
 きらきらと銀粉が舞い、親父もこうやっていなくなったのだなとぼんやり思った。

2009年10月10日
豆本掲載作
その他の印刷物・雑貨掲載作

長編・連載モノなどは「カクヨム」に掲載しています。

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