お母さんが再婚して、あたしには新しいお父さんができました。三人の生活も慣れないうちに、今度はきょうだいができることになりました。
「おとこのこ? おんなのこ?」
「おとこのこだって」
「名前は?」
そう聞くとお母さんは困った顔で首を振ります。
「ないの? だったらあたしがつけていい?」
お母さんは隣りに座るお父さんを見ました。お父さんは大きくうなずいて、いいよと言ってくれました。
「ただし、おとこのこだからかっこいい名前にしてくれるかな」
あたしは力いっぱい返事をします。
「もちろんだよ! だってあたしのお兄ちゃんになるんだもんね」
そう言うと二人はにっこり笑ってくれました。
お兄ちゃんは明日お父さんの前の奥さんのところからうちに引っ越してきます。それまでにかっこいい名前を考えないとなりません。それとも会ってから考えた方がいいのでしょうか。
「顔は? かっこいい? お父さんに似てる?」
「うーん、似てたら困っちゃうなぁ」
お父さんはそう言って笑いました。
もうひとつの「名前はまだない」