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いとこの家

 おばさんの遠慮ない大笑いに辟易しながら、いとこのカンちゃんと並んでスイカを食べた。
 庭のひまわりが暑さにぐったりしていた。
「水まきは夕方にするんだ」
 カンちゃんはそう言った。
 スイカを食べるのに、いつもはスプーンを使う。
 でも、おばさんはスプーンを出してくれなかった。
 カンちゃんはためらいもなくそのままスイカにかぶりついている。
 私は指先で種をつまんで、庭にはじいて捨てた。
 いつまでここにいるんだろう。
 迎えはくるのだろうか。
 風鈴に団扇で風を送ると、ちりんと高い音がした。

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