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冬の夜

 帰り道、いつのまにか暗くなったことに気づいて見上げると、空には無数の光が瞬いていた。白、金、青や赤まで、とてもカラフルだ。
「見て」
 隣を歩く彼の腕を引いて、二人で足を止めた。
「夜景かな」
「きれい」
 見ているうちに、光は柔らかく滲んで、ところどころで混ざり合う。水彩画のようだ。
「水面だね」
「ゆらゆらしてる」
「きれいだね」
 私のお気に入りの角度で笑って、彼は私の手を取る。私たちの手袋の毛糸は少しずつ絡まって、夜が更けていく。

修正の上、豆本「冬の夜」収録。

豆本掲載作
その他の印刷物・雑貨掲載作

長編・連載モノなどは「カクヨム」に掲載しています。

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