私の髪はおかしい。温度と湿度と気圧への反応が異常だ。
『僕の唇を奪っただろ?』
彼が筆談で尋ねる。怒ったようなその顔には唇がない。
「まさか」
「あなたのじゃないわ」
私の顔の二つの唇が順に答える。嘘をついたせいで温度と湿度が上がる。髪が膨らむ。伸びる。気圧が下がる。髪はうねりながら、空に登る。そして雨が降ってきた。
『君に嘘がつけるわけないだろ』
彼が空を見上げると、私の顔の片方の唇からため息がこぼれた。
三題噺:雨・僕・嘘
ツイッターのハッシュタグ「#雨・僕・嘘で文を作ると性癖がバレる」