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下層と上層

 何層にも分かれた彼女を私は監視している。下層の彼女たちは静かな眠りについたけれど、上層の彼女たちは咳を繰り返してうなされている。発酵で発生した気体が一番上の彼女を持ち上げ、下の彼女たちもつられてしまう。私はそれをそっと押さえた。すると気体だけが彼女から抜け出し、小さな龍になって登る。天井に溜まった龍はもう三匹。夕方には雨が降りそうだった。

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長編・連載モノなどは「カクヨム」に掲載しています。

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