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友達の家

 泊まりがけで遊びに来た友達の家で、食卓の上に房飾りのついた立派な紐が垂れ下がっていた。その紐を見上げようとするたびに、おじさんやおばさんや友達が、「遠慮しないで食べてね」だとか「後でゲームしようぜ」だとか、話しかけてくる。食べ終わって食卓を離れる瞬間にちらっと見上げたら、両手で持てるくらいの大きさの鐘が天井に吊るしてあって、紐はそこから伸びていた。鐘には蜘蛛の巣が白い塊になってくっついている。しばらく鳴っていない雰囲気だ。茶碗と箸を持ったまま突然おじさんが立ち上がったから、僕は慌てて背を向けた。

豆本掲載作
その他の印刷物・雑貨掲載作

長編・連載モノなどは「カクヨム」に掲載しています。

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