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エビグラタン

「とぼけないでください」
 夕食を食べようとしたら、突然乱入してきた黒服の男二人に両腕を抑え込まれ、口調だけは丁寧な黒服の女に問い詰められている。
「とぼけてなんかいない! どう見てもエビグラタンじゃないか!」
 女は鼻で笑う。
「おかしいですね。どう見てもタイムマシーンですよ」
「タイムマシーン・・・?」
 呆然とする私の前で女はスプーンを手に取る。
「しかも冷凍。それに、底の方がしっかり温まっていない」
 一口食べ、何度もうなずく。
「タイムマシーンですね」
 私の両隣で、男たちもうなずいている。がっくりと膝をつく私をスプーンで指し、女は命令する。
「連れて行きなさい」

2013年3月14日
豆本掲載作
その他の印刷物・雑貨掲載作

長編・連載モノなどは「カクヨム」に掲載しています。

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