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深夜

 真っ暗な台所。大きく開いた冷蔵庫だけが明るい。そっとカニかまぼこをつまみ出し、ちゅるんと吸い込む。
「何やってるの?」
 起きてきた妻が台所の電気をつける。明るくしては台無しだ。しかしここで怒鳴ったりしては、私の秘密がばれてしまう。
「のどが渇いてさ」
 そう言ってミネラルウォーターのペットボトルを掴む。その右手の人差し指には、カニかまぼこのフィルムがぴったり嵌っている。

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