OPEN MENU
CLOSE MENU

HOME > オレンジ宇宙制作室 > 霧のさよなら

霧のさよなら

 幾重にも包み込むような霧。
 僕の輪郭は、その霧に溶けるように歪む。
 君の乾いた唇がさようならを告げる。
 右手を伸ばしたけれど、君はそれをかわす。
 輪郭の歪んだ右手は、霧をわずかに散らしただけ。
 君が見えなくなったころには、僕の右手に六本目の指ができていた。

豆本掲載作
その他の印刷物・雑貨掲載作

長編・連載モノなどは「カクヨム」に掲載しています。

ページの先頭へ戻る