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電波障害

 泣き声が聞こえて、彼女は顔を上げた。
 ドアを開けて明るい場所に出る。
 最近、電波障害が多い。
 その影響で、迷子になってこちらに紛れ込んでしまう子が増えた。
 庭の隅で、小さくうずくまって泣いている子を見つけ、彼女は優しく肩を抱いた。
 ふんわりとした毛がところどころ焦げてしまっている。
「もう、泣かないで」
 早く誰か探しに来てくれるといいんだけど。
 そう思いながら、彼女は空を見上げた。

2004年2月6日
豆本掲載作
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長編・連載モノなどは「カクヨム」に掲載しています。

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