OPEN MENU
CLOSE MENU

HOME > オレンジ宇宙制作室 > お花見

お花見

 痛みを感じて、少しスカートを持ち上げて見ると、白い脛に薄い花びらがへばりついていた。
 肌と同じくらいの色だったのが、私の血を吸って、あっという間にピンクから赤へと移り変わる。
「だから雨の日にお花見なんて嫌だって言ったのに」
 私の抗議を無視して、彼は暗赤色の花びらを舐めとると、おいしそうに目を細めた。
 脛には花びらの形の痣が残った。桜の跡はこれで三つ目だった。

2016年4月7日
豆本掲載作
その他の印刷物・雑貨掲載作

長編・連載モノなどは「カクヨム」に掲載しています。

ページの先頭へ戻る